あなたはいくつ知っていますか? 座布団にまつわるマナー

和室で座るとき、足腰の負担をやわらげてくれる座布団。普段の生活はもちろん、落語や大喜利の舞台など、さまざまな場面で活躍しています。何気なく使っている座布団ですが、その歴史や正しいマナーについてご存じでしょうか。この記事では、座布団の歴史や座り方、座るときのマナーなどをご紹介します。

畳と一緒に進化!座布団の歴史

座布団は、畳の歴史と一緒に発展してきました。その経緯を以下で見ていきましょう。

・起源は平安時代

座布団は、平安時代に貴族が使っていた「茵(しとね)」が発展したものです。茵(しとね)とは、敷布団のように使われていた「上席(うわむしろ)」を正方形にしたもので、動物の皮などで作られていたようです。当時は畳自体がやわらかかったため、茵(しとね)も厚く作る必要がなく、今の座布団よりも薄いものだったのだとか。茵(しとね)は貴族の使う座具であったことから、色や模様、質は貴族の地位や階級によって決められていたそうです。

・江戸時代に今の形へ

江戸時代になると、やわらかかった畳が硬く長持ちするものに進化し、薄い茵(しとね)に座ると足が痛くなるように。その変化に合わせ、茵(しとね)には真綿が詰められ、厚くやわらかい座布団へと進化しました。また、当時は真綿より安い木綿を詰めた座布団も出回るようになり、町人たちの間にも座布団を使う習慣が広まっていたようです。当時の風俗画や百科事典にも、座布団が使われていたことが記されています。

・明治時代には地方にも普及 明治時代には開国の影響で繊維業が盛んになり、綿を詰めて作る座布団は、地方にも広く普及するようになりました。綿や端切れ、古着などを利用して、各家庭で座布団を作ることもあったのだとか。こうして、座布団は日本全国に広まっていったのです。

表裏と前後に注意!現在の座布団

洋室の普及した現在では和室自体が少なくなってきましたが、今でも座布団は一般家庭の和室や旅館などで、広く使われています。座布団には「部屋の中で座る位置を決めるもの」という役割があり、来客があった場合は、あらかじめ座布団を敷いておくのがマナーといわれています。

なお、現在の座布団は中央のしめ糸にふさのついている方が「表」、縫い合わせのない辺が「前」とされています。座布団カバーを使っている場合は、チャックの縫いしろがかぶさっている方が「表」、チャックの付いていない方が「前」です。お客様に座布団を出す時は、表裏や前後にも気を付けて敷いておくと、より良いおもてなしとなるでしょう。

これができたら一目置かれる?座布団への座り方・マナー

自分が和室に招かれたとき、そのまま座布団に座っていませんか?座布団への座り方にも、実はマナーがあります。ここでは、座布団の座り方やマナーを見ていきましょう。

・座布団の座り方

1:出された座布団の下座側に立ち、跪座(きざ)の姿勢を取ります。跪座(きざ)とは、つま先を立てて、かかとをお尻に乗せた姿勢のことです。

2:跪座(きざ)の姿勢から、一旦正座の姿勢に移ります。その家の主人に「どうぞ」とすすめられたら、軽く会釈をしてまた跪座(きざ)の姿勢になります。

3:両手を握ってこぶしを前につき、膝を進めて脚を座布団に乗せます。座布団に座ったら、正面を向いて背筋を伸ばします。

・座布団からの降り方

1:跪座(きざ)の姿勢になり、こぶしを前について、片脚ずつ座布団から降ります。このとき、座布団にしわが寄っていたらさっと手で払います。

2:座布団から降りたら跪座(きざ)の姿勢から正座の姿勢になおり、主人にあいさつします。

座り方と降り方はほぼ同じですが、動作の途中に跪座(きざ)の姿勢が挟まることがポイントです。また、座布団に座る時のマナーとして、座布団を踏んだり勝手に動かしたりしないように気をつけましょう。 和室で何気なく使われている座布団ですが、座り方やマナーが細かくあり、驚いた方もいるのではないでしょうか。和室に招かれた時に正しい座り方ができると、日本人としても鼻が高いですよね。座布団にまつわるマナー、ぜひマスターしてみましょう。

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