歌舞伎のメイクはどこから来た?

外国人にも人気の歌舞伎。鮮やかな紅で彩られた目元で、歌舞伎役者がきりっと見得を切る。歌舞伎の見どころのひとつです。このような歌舞伎独特のお化粧は「隈取(くまどり)」といい、その描き方や色で表情や役どころを誇張する役割があります。
歌舞伎の隈取は、初代市川團十郎が考案したとされていますが、アジアの舞台劇や京劇の「瞼譜(れんぶ)」などにもその共通性をみることができます。

●「隈取(くまどり)」でみわける役どころ

隈取の中でも紅隈(べにくま)といわれる「紅色」は、江戸時代の荒事(あらごと)に始まり、時代物一般に用いられています。荒事とは、荒々しく豪快な歌舞伎の演技のことを指し、「紅色」は正義や強さを表します。また、藍隈(あいぐま)は公家などの悪役、黛赭(たいしゃ)といわれる色の「茶隈」は、怨霊や化身などの不気味な役に使用されます。
隈取の種類がわかると、役柄の持つ意味合いや相関関係もわかり、歌舞伎をもっと楽しんでみることができます。
およそ50種類ほどの隈取があるそうなので、歌舞伎を観る機会があれば、ぜひ事前に調べてみるとおもしろいと思います。
演目が終わった後、歌舞伎役者が隈取を布地などに押し当てて写し取ったものを「押隈(おしぐま)」といい、ご贔屓(ファン)にプレゼントすることもあるそうです。

●今どきの歌舞伎メイク事情

隈取のメイクは、まず肌に鬢付油(びんづけあぶら)をぬってから下地の白粉を塗り、それから色をつけていきます。鬢付油とは、お相撲さんが髪を結いあげて固めるのに使うものです。鬢付油を顔に塗るとは驚きですが、数時間にわたる舞台で、動き回って汗をかいても化粧落ちで衣装が汚れないように、このようなお化粧をしているそうですが、素人が考えても肌によくなさそうと思っていたら、歌舞伎役者と化粧品会社が共同で隈取用の化粧品も開発しているそうです。歌舞伎役者にとっては毎日のことですから、肌にいいものを使いたいのは当たり前ですよね。きっとメイク落しなどスキンケアには、かなり詳しいのでしょうね。
一方で、隈取の描かれた美容液のフェイスシートなども売られています。こちらは、とてもお肌にいい隈取で、街中のドラッグストアや空港などで購入できます。日本のお土産として人気で、海外の方にも喜ばれているようです。一日中頑張ったお肌を隈取フェイスシートで癒してあげるのもアリですね。

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