昔はお風呂のなかで着ていた!? 浴衣の歴史と現代での楽しみ方(test5)
夏の風物詩のひとつともいえる「浴衣」。夏祭りや花火大会などでよく着られていますが、浴衣はもともとどういうものだったのか、なぜ今のような形になったのか、知ったうえで着ている方は少ないかもしれません。身近に触れられる日本文化だからこそ、その歴史は知っておきたいですよね。この記事では、浴衣の歴史や楽しみ方、着た時に気をつけたい所作などをご紹介します。
昔はお風呂着だった!意外な浴衣の歴史
今はイベント時に着られることの多い浴衣ですが、もともとはどのような使われ方をしていたのでしょうか。以下で浴衣の歴史について見てみましょう。
・起源は平安時代から
浴衣は当初、貴族がお風呂に入るときの衣服として作られました。当時のお風呂はサウナのような蒸し風呂だったため、水蒸気でやけどをしないように、一緒に入る人に裸が見えないように着られていたそうです。素材は麻が主流で、このときの衣服「湯帷子(ゆかたびら)」は、浴衣の語源にもなっています。
・室町時代・安土桃山時代
室山時代・安土桃山時代の浴衣は綿素材が主流となり、風通しが良く汗を吸うことから、湯上がりに着られるようになりました。この頃から、浴衣はてぬぐいならぬ「身拭(みぬぐい)」と呼ばれるようになります。また寝間着としても使われるようになり、白地の木綿を藍で染めたものが主流となっていました。
・江戸時代には現在のような外出着に
江戸時代になると、人々は現代のように裸でお風呂に入るようになります。入浴スタイルが変わったことや、風呂屋(銭湯)が普及したことから、浴衣はお風呂上がりに着てそのまま出られる「外出着」に姿を変えていきます。「天保の改革」で「町人は絹を着てはならない」というお触れが出されたことも、木綿素材の浴衣を流行らせました。また、江戸時代の華やかな文化として、盆踊りやお花見にお揃いの浴衣で出かけることが流行。歌舞伎役者の舞台衣装を庶民がまねするなど、浴衣文化はますます広がっていったのでした。
・全国に定着したのは明治時代 明治時代には、夏の外出着として全国に浴衣が定着しました。吸水性が高く風通しも良い木綿素材の浴衣は、湿気の高い日本の夏によく合っていたからです。また、「注染(ちゅうせん)」と呼ばれる大量生産可能な染め方が発明されたことも、浴衣の定着に関係しています。注染は「本染め」とも呼ばれ、一度に複数の色で染められる技法です。色のグラデーションや絶妙なにじみ具合が表現できるようになり、現代のようにさまざまな色や模様の浴衣が作られるようになりました。
デザイン豊富で普段着にも!浴衣の楽しみ方
このように普及してきた浴衣ですが、現代ではどのように楽しみ方があるのでしょうか。以下で見ていきましょう。
・イベントで着てみる
夏祭りや盆踊り、花火大会など、夏のイベントで着てみましょう。着物と比べて浴衣は着るときのルールも少なく、インターネットや雑誌を見ながら自分で着付けることもできます。試しに着てみたい方は、レンタルサービスで着物を借りて、着付けまでしてもらってもいいですね。
・変わったデザインを選んでみる
現代の浴衣のデザインはかなり豊富で、ストライプや水玉など、古典柄以外にもさまざまなデザインがあります。レースの付けえりやパールの飾り紐など、洋風デザインを取り入れたおしゃれも可能です。
・家の中でも着てみる
庶民の外出着として着られていたように、浴衣はとても涼しい衣服です。日本の暑い夏を乗り越えるために、家の中で普段着として着てみるのもおすすめです。目にも涼しい白色の浴衣や、染料の香りを虫が嫌う紺色の浴衣など、毎日色を変えてみるのも楽しいですね。
綺麗に着るなら要確認!浴衣を着たときに気をつけたい所作
せっかく浴衣を着たのであれば、その所作も素敵なものにしたいですよね。浴衣を着たときに気をつけたい所作を、以下で見ていきましょう。
・立ち方・歩き方・階段の上り下り
浴衣を着たときは、背筋を伸ばして姿勢よく立ちましょう。歩くときは、いつもよりやや小さめの歩幅で、少し内股にして歩きます。階段を上り下りするときは、右手ですそを少し上げると、転ばずきれいに歩きやすくなります。
・動きをを小さく丁寧に
全体的に、動きを普段より小さく、丁寧に行うようにしましょう。普段通りに動いていると、だんだんと着崩れてえりがやすそが広がってきてしまいます。特に階段の上り下りのときは体を斜めにすると、足を開かずにすむので着崩れしにくくなります。
・食事のときは「たもと」に注意
「たもと」とは、浴衣のそでの下の袋状になっている部分です。食事で手を伸ばす時は、もう一方の手でたもとをおさえ、汚れないようにします。あらかじめテーブルからこぶしひとつ分開けて座る、ナプキンは帯の上からかけるなど、普段よりも服が汚れないように気を付けるとよいでしょう。 イベントの際に何気なく見かける浴衣ですが、意外と長い歴史があります。また、昔は普段着として着られていたように、夏の間は家で着ても楽しいかもしれませんね。思い出にも残りやすい浴衣、次の夏にはぜひ着てみませんか?
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