あえて知ろう。「くさや」がくさい理由って?

くさやってどんなもの?

海に囲まれた伊豆諸島のおみやげ店に並ぶ干物といえば、アジにイワシも金目鯛と色々とありますが、その中でも特に「強烈なにおいのもの」といえば──?
そう、言わずもがなの「くさや」です。

世界の「くさいものランキング」でも5位に食い込むという「くさや」。
(ちなみに1位はスウェーデンのニシンの塩漬けの「シュールストレミング」)。
それほど癖は強いけれど、食べてみると絶品なのもくさやの特徴。
でも「においが苦手で……」と、敬遠している方も多いのではないでしょうか?
くさやとは、トビウオやムロアジなどの内臓を取り除いて干物にしたもの。
乾燥させる前に「くさや液」という漬け汁に漬けることで、あの強烈なにおいが作られるのです。

くさやが腐りにくい理由とは?

一般的に干物は開いた魚を10~15%の塩水に漬け乾燥させて作るのが一般的です。
しかし、江戸時代はこの塩水を作るのが容易ではありませんでした。
というのも、年貢を塩で納めていたために塩を入手しづらかったのです。
そこで節約のため塩水を使い捨てにせず、何度も繰り返し使ってみたら、魚から出る成分と塩分が混ざり、時間がたつにつれて発酵。
そしてくさやの強烈なにおいのもととなる、くさや菌を含む液体「くさや液」が誕生したのです。
ちなみに、この「くさや液」の中には、食中毒の原因となる菌をも死滅するほどの威力をもつ微生物がたくさん含まれているそう。
そしてその微生物がくさや独自のにおいと味を生み出したのです。
さらにくさやが腐りにくいのも、液自体に含まれる微生物のおかげだとか。

くさやのにおいが気になるときは

「くさや液」の色は濁っていて、見た目はあまり良くはありません。
それは100年以上も前から、つぎ足されているから。
ずっと液を変えないのだから、次第ににおいがきつくなるのは当然。
でも、そのにおいに比例するようにして、くさやはとびっきり味わい深い干物に仕上がったのです。
くさやは焼くことで、普通の干物以上に美味しくなるのが特徴です。
何もつけずにそのままいただいても、十分美味しい!
ごはんにも合うし、栄養満点です。
もし、どうしてもにおいが気になる場合は、焼いた後にお酒を十分に染み込ませてみてください。
アルコールの作用で、においが少しまろやかになりますよ。
また醤油や焼酎に漬けてから焼くのも有効だそう。
江戸時代には、炙ったくさやをご飯にのせて、醤油を少したらした茶漬けが人気を博したそうです。
そんな情景に想いを馳せながら味わってみるのも乙なもの。
きっと当時も「くさいくさい」と言いながら、おいしく食べていたのでしょう。

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